★長谷川穂積・第2章へ

名古屋決戦。ダブルタイトルマッチ。

技巧派同士、中間から近距離でのフェイントの掛け合いがなかなかひりひりする。体躯で勝る粟生がいいプレッシャーをかけ、伸びのある左を上下にうまく散らしてる。特に序盤からボディが目に見えて効いてる。そして3Rには左ストレートが相手の顔面を捉え早くもダウン奪取。ちょうどタイベルトも左を振るったところでカウンターが決まった。
しかしここで一気に決めきれない粟生。タイベルトも長いキャリアの中で初のダウンだったみたいだが、やや単調になった粟生の攻めをうまく捌きながら少しずつ盛り返していく。粟生のディフェンスがうまいのは承知だが見ていて恐い王者の重そうなパンチ。
攻勢にこそさせないが、うまくフットワークを使われ捉えきれない粟生、ボディ或いは連打が欲しい。タイベルトは強いフックを振るってはいるものの、左目尻から出血もありやや弱気な表情を覗かせるシーンも。それでも王者の意地か最後のラウンド、捨て身で正面から打って出るタイベルト。左ショートをカウンターで当てる粟生だが、やっぱりその次が出ない。最後までダウン追加とはいかないまま終了、ポイントでは文句いんだけど、どこかもどかしかった王座奪取。
ともあれ、2階級制覇おめでとう。さぁ次だ…!

ブルゴスでけぇ。振りが大きいがヒットしたらやばそう。一方の長谷川、若干動きが硬いような気もするが、2Rには自分の距離をとれてる辺りはさすが。しかしラウンドを重ねるごとに更に強気に攻める長谷川だが、明らかに力入りすぎてて大振りなのと、ちょいちょい被弾してるのが気になって仕方ない。
4R終わって公開採点のあと、流れを掴むべく正面から圧力をかけるブルゴスに対し、カウンターで左アッパー或いはフックを入れる長谷川。効いてはいると思うがどうも力任せに見える。陣営もなり懸念してる模様。
そして7R、4月のモンティエル戦の悪夢を思い起こさせるようなコーナーに詰められての連打を食らう長谷川。更に左アッパーを突き上げられたたらを踏むようなシーンも。打ち合いに臨むもいつもの回転が出ず逆にガードの隙間にパンチを入れられる。8Rには偶発のバッティングで長谷川が右目尻をカット、ブルゴス減点だがこの血のカーテンは厄介か。しかしここから一転、いつものようなフットワークが。
すぐに出血が止まった長谷川に対し今度はブルゴスの右目の下がえらく腫れてきた。終盤にきて、スピードを活かし相手を空転させカウンターを入れる、いつものボクシングになってきた長谷川。後がないブルゴスも長いリーチをしならせるようにフック、アッパーを振るう。しかし長谷川もカウンター。最後は両者足を止めてのインファイト。ダウンシーンはないまま終了のゴングを聞いたが…凄まじい試合だった。判定は文句なく大差ユナニマスで長谷川を支持、こちらも2階級制覇達成。やばい、涙出るわ。
4月に陥落劇を目の当たりにし、つい先月にお母さんを亡くされたことを聞いて、正直今日は観ていて弱気にならずにはいられなかった。「らしくない」試合でほんとに胆を冷やしたけど、それでもいい試合だったと思う。王者の強さを見せて貰いました。お母さんも喜ばれてるでしょう。